 |
第47回 |
〜ヴォーリズが設計した洋風住宅〜
駒井家住宅(駒井 卓・静江記念館) |
|

住む人と作る人の気持ちが重なったヴォーリズの家づくりの理念
京都帝国大学理学部教授として、遺伝学、生物学の発展に寄与された駒井 卓博士は、昭和天皇に生物学を進講された学者としても知られています。博士と静江夫人の依頼を受けて、ヴォーリズ設計事務所が建築した駒井家住宅は、昭和2年に完成しました。
アールの飾り窓が特徴的な外観は、当時アメリカで流行していたアメリカン・スパニッシュ様式を基調としていますが、日本の気候風土を配慮して屋根には和瓦が用いられています。
居間の両側にはダイニングとサンルームが配置され、明るく広々とした一続きの空間が広がっています。居間を特徴づけているのは、庭に張り出した腰掛け付きのベイウインドウ、この窓辺でくつろいでおられる夫妻の写真も残っています。
玄関横の和室は、上げ下げ窓の内側に障子窓が採用されていて、内部は純和風でありながら、洋風の外観デザインを損なわないよう工夫されています。
2階へ続く階段手摺の柔らかな曲線や、ステンドグラスを通して日差しが差し込むホールなど、どこか懐かしくて温かい雰囲気が家中にあふれています。ここを訪れる研究者や学生たちが絶えなかったそうですが、ご夫妻の人柄がにじみ出ているような、ぬくもりのある表情が駒井家住宅の魅力ではないでしょうか。
いつも和服を着て過ごされた静江夫人の希望で、2階の寝室には和箪笥がクローゼットと並んで収まるように設計されました。玄関横のちょっとしたスペースに設けられた靴磨きのキットを入れる小引き出しや、洗面所の鏡の裏のメディシンキャビネットなど、収納スペースに工夫を凝らした合理的な住まいです。
平成14年に財団法人ナショナルトラストに寄贈されてからも、この住まいを愛し、大切に暮らしておられた夫妻の想いを受け継ぐ人々によって、そのぬくもりが伝えられていることを感じます。博士の書斎を案内してくださったのは、孫弟子にあたる同志社大学名誉教授の小林直正先生。
研究者を囲んでお話を聴くサイエンスカフェのほか、庭にある温室ではフラワーアレンジやアロマテラピーなどの教室も開かれています。「掃除や庭の手入れ、見学者の案内など、たくさんの人がこの住宅の保存に関わっています。活用することで多くのみなさんに愛着を持っていただき、貴重な文化財を後世に伝えていきたい」と、プロパティマネージャーの惣司めぐみさん。
「たくさんの人が保存にかかわっているということは、それだけこの家が魅力にあふれているということではないでしょうか」とジェフ。「80年経っても温かく迎えてくれる住宅を造ったヴォーリズを、同じアメリカ人として誇りに思います。住む人と作る人の気持ちが重なったヴォーリズの家づくりの理念を、今の住まいづくりにもぜひ生かしてほしいと思います」というメッセージで番組の収録を終えました。
→ロケ日誌のページへ(新しいウィンドウが開きます)
|